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  • パスタ作りのコツは何ですか? 
  • パスタ作りのコツは何ですか? 

あり合わせの材料でつくる簡単パスタ。おもてなしのための贅沢パスタ。手早く作れて、普段のごはんにもご馳走にもなるパスタは、食卓の救世主的存在です。しかし、簡単だからといって侮るなかれ。誰にでも作れるものだからこそ、ちょっとしたコツが味を左右するのです。というわけで、パスタ作りのコツを食のプロに伝授してもらいましょう。

雑誌やウェブでのレシピ紹介や、飲食店のメニューや商品のディレクション、さらにはアートプロジェクトへの参加など、多岐に渡って食の魅力を発信する、南風食堂の三原寛子さんに、とっておきのレシピとパスタ作りのコツを教えて頂きました。

三原寛子(料理家)

三原寛子(料理家)

—これまで食した中で、一番印象深いパスタは何でしたか?
三原:小学生の頃、父が作ってくれたアメリケーヌソ—スのパスタです。父は、山口瞳さんや伊丹十三さん、嵐山光三郎さんの料理にまつわるエッセイが好きで、私が子供の頃からよくキッチンに立って料理を作っていました。ある日、私が学校から帰ると、父が台所に立って大きな海老の頭と殻を炒めていました。何を作っているのか尋ねたら、何でもアメリケーヌソースというパスタソースを作っているだと教えてくれました。

—お父様のパスタの味はいかがでしたか?
三原:こんなに美味いものが家で作れるのかと驚きました。濃厚な海老の甘みと旨み、そして爽やかなトマトの酸味とのバランスが絶妙で、子供の頃に食べた料理の中でも一番美味しかった記憶があります。

—そもそも、アメリケーヌソースとは何料理なのでしょうか。
三原:ネット上の文献によると、アメリカのレストランで働いていたフランス人シェフが考案した料理という説がありますね。料理の名前を聞かれてとっさに答えた名前が「オマール海老のアメリカ風(Homard a l'américaine)」だったことから、後にアメリケーヌソースと呼ばれるようになったのだとか。父はアメリカに留学していたことがあるので、もしかしたらその時に覚えた料理かもしれないですね。
—お父様はよく料理をされていたのですか?
料理は好きだったと思います。父は料理本や料理エッセイを沢山持っていて、その中でも特に記憶に残っているのが『男の料理』という本。様々な文化人が自慢の料理を作って紹介している本で、例えば、岡本太郎さんはスペインの骨の髄を使った料理、オッソ・ブッコを紹介していました。そんな見たこともない、味の想像もつかない料理にワクワクしたのを覚えています。
—さて、実際にアメリケーヌソースのパスタを作ってみましょう。何か知っておくべき料理のポイントはありますか?
三原:アメリケーヌソースで大事なのは、殻の旨味を十分に活かすことです。海老の頭から旨味が沢山出るので、炒めた後にザルにあけて、お玉かめん棒でギュウギュウと潰して、ソースを絞り出すと良いです。海老は殻だけでも立派なソースになるんですよ。私なんかは、海老フライを作る時に残った殻を冷凍保存しておいて、ソースを作る時に再利用しています。海老の身も加えると旨みが増して、更に贅沢なソースになります。
—海老はどんな種類を使えば良いですか?
三原:旨みの濃い、出汁がしっかり出る種類を使うのが良いです。正しくはオマール海老を使うのが良いのでしょうが、今回はブラックタイガーを使いました。
—パスタの茹で方のコツはありますか?
三原:大量の湯で麺を茹でるのと、湯に適量の塩を入れることです。1人前だったら2リットルの湯を沸かし、塩を20グラム入れる。2人前だったら3リットルの湯を沸かし、塩を30グラム入れる。一回作ってみるとわかるのですが、舐めてしょっぱいと感じるくらい強い塩気が必要なのです。この塩気で麺がプリプリに仕上がり、麺に塩気が付くことで、ソースとの馴染みが良くなります。ただ、いつも塩を沢山入れながら、もったいないなぁと思ってしまって。その点、今回使わせて貰ったDOORS GROCERYの「小豆島手延べ半生パスタ」は塩無しで美味しく茹で上がり、茹で時間も3〜4分と短く便利ですし、ソースに良く絡むのでオススメです。
—アメリケーヌソースのパスタ以外にも、パスタはよく作られますか?
三原:友人のシェフが教えてくれたカルボナーラのレシピが絶品で、よく家で作っています。薄切りの玉ねぎを飴色になるまで炒めて、そこに白ワインやブイヨンを加えてから常温に冷ましたソースをベースに作ります。普通のカルボナーラに飽きた人は、是非試してみてください。あとは、3年前にイタリアに行った時にお世話になった方に教えてもらったペポーゾという牛すね肉とねずの実を煮込んで作るパスタも美味しかったですし、それにフィレンツェで食べたミートソースも忘れられません。イタリアのパスタは、やはり美味しかったですね。
—三原さん自身は、昔から料理がお好きだったのですか?
三原:父と母が共働きだったので、中学生の頃くらいから"ご飯係"として、家族のためにご飯を作っていました。本で美味しそうな料理を見ては、実際に作ってみていました。大学生になり写真の学校に通い始めると、課題がとても多く、よく班のみんなで夜中まで作業することがありました。そこで、同級生だった南風食堂のもう一人のメンバーの小岩と、"ご飯係"を始めたのです。どんなに忙しい時でも美味しいものを食べたいし、作った料理を喜んで貰えると嬉しくて。それが今まで続いている感じです。
—アメリケーヌソースのパスタ以外で、三原さんの得意なパスタは?
三原:定番のミートソースや、カルボナーラ、明太子のパスタはよく作ります。あと、バジリコパスタも好きです。六本木にキャンティという老舗のイタリアンレストランがあるじゃないですか。キャンティはバジルが手に入りにくい時代からバジリコパスタを出していて、そのバジルソースも紫蘇とバジルをブレンドした、日本で作りやすいようにアレンジしたレシピだったそうです。その情報を母が聞きつけてきて、私がそのレシピに挑戦した覚えがあります。でも、アメリケーヌソースだけは作れなかったなぁ。"憧れのすごい奴"みたいな存在でした。だから印象に残っているのかもしれませんね。
—三原さんの料理に影響を与えた本はありますか?
三原:『向田邦子の手料理』という本はよく読みました。昭和ならではのお洒落さと、毎日でも作れてしまう手軽さが気に入って、この本に載っているレシピは、子供の頃から何度も作っています。父から影響を受けて読み始めた嵐山光三郎さんの本もお気に入りです。向田さんも嵐山さんも本職の料理人ではないのに、食への関心が旺盛で、純粋に"食いしん坊な自分"に突き動かされている感じがあるんですよね。美味しい料理を作るには、まず想像力を働かせ、そして食欲に素直になって試行錯誤してみること。そのことをお二人の本から学びました。

〈レシピ〉
アメリケーヌソースのパスタ
材料(2人前)
たまねぎ 1/2個
人参 1/2個
セロリ 1/2本
にんにく 1片
トマト 3個
トマトピューレ 130cc
海老(有頭)ブラックタイガーなど大きめのもの5尾
TINY GARDEN FOODS 有機エキストラオリーブオイル 大さじ1
バター大さじ1
塩 小さじ1弱
こしょう 少々
イタリアンパセリ 少々
DOORS GROCERY 小豆島手延べ半生パスタ 2袋

作り方
1 にんにくの芯を取る。たまねぎ、人参、セロリ、にんにくをみじん切りにする。
2 トマトをざく切りにする。海老は頭と殻と尾を取る。海老の身の部分から背わたを取る。イタリアンパセリをざく切りにする。
3 フライパンにバターをしき、海老の頭、殻、尾を炒める。色付いて香りがたってきたら、別の器に移す。フライパンにオリーブオイルを足し、フライパンに残った海老のエキスをからめとるようにしながら1を炒める。野菜がしんなりと透き通ってきたら、トマト、トマトピューレを加え、先程の海老の頭、殻、尾を戻し、ざっと混ぜる。30分程よく煮詰める。水気が足りなくなってきたら元の分量まで水を加える。
4 ザルで漉す。お玉かめん棒などで海老の殻を押し潰すようにして、最後までソースを搾る。大きすぎる場合は、潰しやすい大きさに包丁で切っても良い。
5 ソースをフライパンに戻し、海老の身を加え、火を通す。塩、こしょうで味を整える。
6 鍋に湯をたっぷりと沸かし、半生パスタを指定分数、茹でる(小豆島手延べ半生パスタを茹でる際、塩は必要ありません)。
7 パスタをソースの入ったフライパンに移し、よくからめる。器に盛り、イタリアンパセリを散らす。 ※炒めたまねぎ、人参、セロリ、にんにくの代わりにDOORS GROCERY 野菜だしを、トマトピューレの代わりにDOORS GROCERY 高知のイタリアントマトパスタソースを使っても美味いです。
三原寛子
料理ユニット「南風食堂」主宰。食に関する企画提案や編集物の制作、アートプロジェクトでの作品制作展示、雑誌やウェブなどでの料理紹介、商品開発などを行う。2017年11月に新木場でオープンの複合施設CASICAのカフェのディレクションをおこなう。http://www.nanpushokudo.com
三原寛子
料理ユニット「南風食堂」主宰。食に関する企画提案や編集物の制作、アートプロジェクトでの作品制作展示、雑誌やウェブなどでの料理紹介、商品開発などを行う。2017年11月に新木場でオープンの複合施設CASICAのカフェのディレクションをおこなう。http://www.nanpushokudo.com
プロフィール
文:大神崇 写真:三田村亮
文:大神崇 写真:三田村亮

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