モノに宿る付加価値

はじめまして。

今回より、こちらの『モノゴコロ』を担当させていただきます、甲子園店のキタヤスユキです。 今まで人様に読んでいただくような文章を書いた経験もありませんが、思いのまま感じるままを綴らせていただきたいと思っております。どうぞ宜しくお願い致します。

さて、今回から始まった『モノゴコロ』。 タイトルにもある”物心”という言葉。 「物心ついた頃から…」なんて言い回しでよく耳にしますよね。 辞書をめくると「世の中の物事や人間の感情などについて理解できる心。分別。」という説明があるこの言葉。 少し意味合いは違いますが、日々の暮らしの中でモノを大切に想う気持ちや、愛着を持って使う姿勢もまた、「物を想う心」です。 掛詞のようですが、これもまた『モノゴコロ』と呼べるのではないかと思います。 この『モノゴコロ』では、そういったモノへのこだわりや愛着、考え方にスポットを当てていきたいと思います。

それでは、前置きはこの辺りにして本題へ。

職業柄、多くの方々のモノにまつわるエピソードをよく耳にします。 ここでいうモノとは、やはり服飾雑貨や生活雑貨が中心です。

昔、広島出身のスタッフからこんな話を聞きました。 彼が大阪に出て来る時、お父さんから一足のマウンテンブーツをプレゼントされたそうです。 そのブーツはドアーズでもお馴染みの、ダナー社のダナーライト。 彼のお父さんは近くの山に登るのが日課で、昔からダナーライトを愛用していたそうです。 「いつか壊れた時のために…」ともう一足同じブーツを買い足しておいたようですが、何年履いても壊れないためにお蔵入りになっていました。 そういった事情もあってか、お父さんは大阪に出て行く彼にこのブーツをプレゼントしてくれたようでした。

私が彼にこの話を聞いた時も、たまたま彼はそのダナーライトを履いていました。 そして話の途中、彼がふと言った一言が素敵でとても印象的でした。 「毎年、実家に帰ると実感します。街履きの僕のダナーライトでは、山履きで傷だらけになった父親のダナーライトの格好良さには、いつまでたっても勝てないですよ。」

人はモノを買う時、まっさらで綺麗な”商品”としてそれを手に入れる事でしょう。しかし、そこに付加価値を持たせるのは、個人とそのモノとが共有する時間や経験。そしてその付加価値が宿ったモノはやがて消費者にとって唯一無二の”パートナー”のような存在になるような気がします。

使い込まれたモノが醸し出す魅力には、それを大切に使い続けた持ち主との経験が宿っているのではないでしょうか。

こんな事を思いながら、日々私も自分の靴をお手入れしています。 ブーツで言えば、傷も魅力ですね。

今回のモノゴコロなお話はここまでです。 また次回の『モノゴコロ』でお会いしましょう。

次回・お気に入りの行方

キタヤスユキ(甲子園店)
媒体を通してですが、多くの方々との出会いを楽しみにしております。少しでも共感していただけると嬉しいです。