
秋が深まり始めた10月下旬、思いついて「釣り行かない?」といつもの仲間たちに声をかけたのは2日前。
皆、釣りには目がない。「いいよ」の返事をもらい、うれしくなりがなら準備をした。
どうやら天気が少し崩れるようだ。
防水性のあたたかいダウンジャケットを鞄に忍ばせた。
目を覚ますと、外の景色は夜の帳の中。
寝る前に準備しておいた、道具を積み込み、仲間と合流して今日のポイントへと車を走らせる。
空が徐々に白み、山の稜線がもやっと姿を現す。
もう眠さはない。
頭の中は水中の魚の動きを想像しながら、うずく気持ちを楽しむ。
赤く染まり始めた空を眺めながら、窓を少し開けると冷たくて心地よい風が車内に流れ込んだ。
ポイントに到着。
日はまだ山の向こう側でまだ寒い。
コーヒーを飲みながら準備をする。
朝早く起きて、気心知れた仲間との他愛のない時間。
キャスト開始。
しばらくすると水面の霧が徐々に光を増し、すーっと消えて行く。
朝日だ。
水面が輝き、霧の中に姿を隠していた他の釣り人の影がだんだんとはっきりしてきた。
まだ天気はいい。
空が高い。
水中のことを想像していると、いつの間にか一人の時間を過ごしていた。
水面の色で水中のイメージをする。
水中で魚たちがどう動くのか、自分のルアーはどう動いているのか。
ふと目を横にやると、みんなも自分一人の時間をゆったり過ごしている様子。
心地よい時間だ。
空には雲が広がり始めた。
崩れるのか。
女の子たちは飽きてしまったようで、景色を眺めたり、砂浜を散歩したりと思い思いの時間を過ごしている。
コーミングをしながら面白い形の貝も見つかったようだ。
僕たちは食いつきの感触を求めながらポイントを移動。
そして、とうとう雨が降り出した。
降り出した雨にも防水の利いたダウンジャケットが活躍してくれる。
フードにもダウンが入っているから体温は奪われずにキャストを続けることができた。
それでもアタリはなく、遅めの朝ご飯を食べて帰宅することに。
全員が程よい眠さと、自然の中で過ごした時間の心地よさに包まれながら、
あたたかいまどろみの中にいる。
釣れたか、釣れないかと言われれば釣れた方が楽しい。
でも、僕は一日の始まりの風景、気温、光の変化。
それと呼応するような自分の感覚の変化を求めて釣りにでかけている気がする。
そんなことを思いながら、他愛もない時間を過ごした。
ああ、心地よい。
眠気に包まれながら帰宅。
今の感覚を忘れないうちに、書き留める。
こうしていまパソコンの前にいる。
眠たくなってきた、ひと眠りすることにしよう。